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目次
元和2年(1616)
『象戯馬法并作物』
の表紙と跋文

1.草創期
(3) 象戯馬法并作物


宗桂は元和2年(1616)に 『象戯馬法并作物』 を出している。 「馬法」 というのは駒組みのことで、これが六図と詰将棋八十番が納められている。 この80局のうち45局は慶長版と同じなので、35局が加わったことになる。

宗桂の詰将棋は殆どがいわゆる実戦型で、端に桂香がある図が37局もある。 従って実戦の終盤から取材したようにも言われるが、駒数の少ない現代風な作もあり、明らかに 「作物」 である。

しかも、手順前後や収束余詰のようなキズを除くと、いわゆる余詰は全くない。

「詰め方唯一」 という詰将棋の理念は既に確立していたと言える。 しかし、途中で取った駒が詰上りに持駒に残るのが半数もある。 この 「手余り」 については甘かったようだ。