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目次
五世名人(正徳3年)
二代伊藤宗印
(167?〜1723)

2.興隆期 (家元)
(6) 勇略35番


実子に大橋家を嗣がせた伊藤宗看は、肥前出身の鶴田幻庵を養子にして宗印を名乗らせた。

この二代宗印は、五代宗桂が没した正徳3年(1713)に五世名人となっている。

二代宗印の献上図式 『象戯作物』 百番は元禄13年(1700)に開板され、通称は 『将棋勇略』 という。 「勇略」 も玉を対称位置に配しているが、もう一つ、すべて四段目から上の中段玉と入玉図というのが特徴である。

この勇略35番は如何にも宗印の特色が出た作で、浮いている85金をすぐに取らず、84龍と突っ込む初手と5手目の73金捨てが力強い。

収束に98金を引き摺り下ろす銀歩趣向が現れるのも意外だが、その1号局でもある。

宗印は 『将棋精妙』、別名 「不成百番」 も作ったが、出版されたのはずっと後の時代。