中将棋の資料


私が現時点においてその存在を確認している中将棋資料をまとめました。

  1. 『中将棊指南抄』(雑藝叢書収録)
    大正三年(1915年)に発刊*1された『雑藝叢書』という本に収録*2されていることもあって、中将棋のルール解説書としてはもっともよく知られている。
    作者は不明だが、文末に「元祿十六年未九月吉祥日 日本橋南詰 松葉軒藏版(しょうようけんぞうはん)」と記されていることから、書かれたのは江戸時代中頃と思われる。
    この書はかなり広く流布したらしく、詰め中将棋がついたものや『中将棊詰物指南』がついたものなど、様々なバリエーションが存在する。
    中将棋のルールを研究する上では欠かすことのできぬ一冊。
    *11979年にも復刻版が出ている
    *2雑藝叢書には『中将指南抄』という題で収録されている。

  2. 『中将棋の指し方』(大山康晴/岡崎史明)
    東京本所の佐藤敬商店さんが作っていらっしゃる中将棋セットに付随してくる解説書。ルール解説部分の執筆は岡崎史明七段(当時)。
    この中で岡崎氏は解説に先立ち、「(昭和)二十二、三年頃まで、故木見金治郎先生にだいぶ(中将棋を)指していただいた」と書かれている。つまり岡崎氏は「中将棋の指せる方」であった。
    また執筆にあたっては『中将棊指南抄』を参考にしたとも書かれているが、それゆえに生じたと思われる矛盾点も散見する。

  3. 『ものと人間の文化史23-I 将棋』(増川宏一/法政大学出版局)
    2Pに渡って中将棋のルール解説が載っているが、内容は『中将棊指南抄』を簡略化したもの。作者自身が中将棋を指せるかどうかについては記載がない。
    余談だが、氏は指南抄の「獅子はしり駒にあたれば」を「獅子は、しり駒」と解釈したらしく、意味不明な箇所がある。

  4. 『中将棋全集』(松田正一)
    中将棋の家元を名乗り、故大山康晴名人や故灘蓮照九段とも親交があったといわれる松田正一氏が昭和52年に記された中将棋の定跡書。これまでに存在が確認されている中将棋関連書物としてはもっとも時代が新しい。
    定跡以外の部分では『中将棋の指し方』の記述内容と符合する部分が多く、たとえば、

    などがあげられる。
    著者・松田氏がルール解説部を書くにあたり、『中将棋の指し方』を参考にしたのはまず間違いないであろう*。従ってこの本のルール解説部は、「指し方の一解釈」としてとらえた方がよい。
    この本はあくまで定跡書として評価すべきである。

    2001/11/15追補
    その後生前の松田氏を知る方からうかがったところによると、松田氏は中将棋の指南を施すとき、『中将棋の指し方』を盤の傍らに置いていらっしゃったそうです。

  5. 『中将棋総観』(松田正一)
    前述の松田氏が『中将棋全集』を書き下ろす前に記された本。一部関係者に配られたらしいが、未見なので内容については不明。

  6. 『中将棊絹篩』(鶴峰戊申著・文政一年序)
    未見

  7. 『中象戯初心抄』
    未見

  8. 『中象戯圖式』(伊藤宗看著)
    未見

  9. 『中将棊作物』(伊藤宗看著)
    未見

  10. 『中象戯作物(百番)』
    未見

  11. 『中象戯作物』(大橋宗看著)
    未見

  12. 『中象戯詰物』
    未見

  13. 『中将棊詰物指南』(元禄十六年)
    未見

  14. 『中象戯補録集』(山形屋八郎右衛門編)
    未見


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