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目次
八世名人(寛政元年)
九代大橋宗桂
(1744〜1799)

6.最盛期(エピローグ)
(4) 舞玉30番


八代宗桂の嫡子で、31歳で大橋家を継いだ九代宗桂は天明六年(1786)に八段に昇ると直ちに 『象戯図式』 百番を献上し、寛政元年(1789)に46歳で八世名人を襲って、空位になっていた将棋所を再興した。

「舞玉」 には 「無双」 や 「図巧」 の作品を焼き直したようなものも多いが、おしなべて完成度は高く、とくに趣向作に秀作が多い。 看寿と宗看を横綱とすると九代宗桂は西の大関級と言える。

この30番は看寿や宗看にも見られなかった新しい構想作。玉方の角と龍の双方の利き、つまり「大駒の焦点」に香打ちを二回も行う妙手が主題である。 13手目の5五香に5二金や銀の合駒も難しいが、ギリギリで割り切れている。